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最高裁医療判例real estate

最高裁医療判例
最判昭39・11・24民集18巻9号1927頁

最高裁昭和39年11月24日判決(民集18巻9号1927頁)は、犬に咬まれた患者(当時13歳)の治療にあたった医師が、その犬の狂犬でないことの推測ができる程度の資料があったにもかかわらず、狂犬病の発病を恐れるあまり、まず予防接種をしておけばよいとの安易な考えのもとに、その接種による後麻痺症の危険についてはほとんど考慮を払わずに、これを継続施行する等原審認定のような事情(原判決理由参照)があるときは、右医師は、その結果による後麻痺症の発生につき過失の責を免れない、とし、損害賠償責任を肯定した原判決を相当としました。
医療行為は侵襲行為ですから、予防的医療行為が有用性、必要性に乏しいときは、危険性を考慮して、実施しない注意義務を認めた判決です。
当該事案において、有用性、必要性に乏しい予防的医療行為を、危険性を検討することなく実施する医師への警鐘となるであろう判決です。

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